空は淡い青からすみれ色よりも濃くなることはほとんどなく、
そこには巨大な、重量のない、絶えずかたちを変える雲がゆたかにそびえたち、
ただよっていた。だが、ここの空は青い力を内に秘めていて、
近くの丘や森を鮮やかな濃い青に染めあげて見せる。
日ざかり、大気は炎と燃えたち、いきいきと大地をおおう。
この高地で、朝、目がさめてまず心にうかぶこと、
それは、この地こそ自分の居るべき場所なのだというよろこびである。
「アフリカの日々」 アイザック・ディネーセン著 横山貞子・訳 晶文社 ディネーセンが描いたキクユ族の使用人。1920年頃の作とされている。
ディネーセンの絵よりも、もっと古い時代のアフリカのイメージ絵画をひとつ。
椰子の木、ライオン、未開の部族の武器、そして、中央には官能的なアフリカ女性…
18世紀末、探検家が活躍していた時代のヨーロッパ人が思い浮かべたアフリカである。