私はアフリカに農園を持っていた。ンゴング丘陵のふもとに。
この高地の百マイル北を赤道が横切り、農園は海抜六千フィートを越える位置にあった。
昼間は太陽の近くまで高く登ったような気がするが、
明けがたと夕暮れは涼しくやすらかで、そして夜は冷えびえとしていた。
「アフリカの日々」のイントロダクション
アフリカの魅力を享受することにかけては希代の感受性を発揮した
ディネーセンは、しかし農園経営者としては失格だった。
四十代のなかばを越えて、いままで生きてきた基盤を根こそぎくつがえされ、
ディネーセンは失敗者、破産者としてデンマークに帰る。
「アフリカの日々」の翻訳者の解説
「アフリカの日々」 アイザック・ディネーセン・著 横山貞子・訳 晶文社
16回に分けてキリマンジャロ登山のことを述べさせていただきましたので、ここでひと息、コーヒー・ブレイクします。上の写真はケニアの避暑地での喫茶店。このようなアウトドア型が多い。
全日本コーヒー協会の
HPにおもしろい統計がありましたので、その中から2つ紹介します。
<コーヒー輸入国の消費量>アメリカ、ドイツについで、日本は第3位。イタリア、フランス、イギリスよりも多い。赤ちゃんから老人まで平均して、一人の日本人が1年間に321杯のコーヒーを飲んでいるとある。東洋人としては珍しくコーヒー好きな民族と言えるでしょう。
<コーヒー生豆の国別輸入量>ブラジル、コロンビア、インドネシア、エチオピア、グァテマラ、ベトナムについで、タンザニアから日本へのコーヒー輸入量は第7位。ブラジルやコロンビアからの輸入量と比べたら10分の1以下で、あまり多いとは言えない。アフリカでは「モカ」の産地のエチオピアに次いで第2位。ただし、取引されている金額を見ると中米のグァテマラに次いで、タンザニア産は第2位の高い単価で輸入している。さすが「キリマンジャロ」のブランド力か。
上の写真はナイロビ市街地のレストラン兼ティールーム。簡単なフェンスで歩道と仕切ってある。
そもそもコーヒーは東アフリカ、現在のエチオピアの野生の木の実をアラブ人が持ち帰り、飲むようになったらしい。1000年ほど前、覚醒剤として、そして、元気の出る飲みものとして。
ずっと後になって、ブラジルなどで本格的に栽培されるようになり、アフリカで栽培されるようになったのは、20世紀に入ってからである。だから、この項のトップの「アフリカの日々」のコーヒー農園の話しは開拓者的な役割を担っていたと思うし、後にコーヒーに適合していない土地であることがわかったりするのだから、ディネーセンは苦労人であることには間違いない。
ンゴング丘陵というのは、ケニアの首都ナイロビの近郊で、彼女が15年間滞在した所である。
上の写真はホテルのゆったりとした喫茶コーナー。ここで飲み物の支払いを2倍に請求されたことがあるのだが、
神戸俊平先生が同席していて、彼が追窮したら支配人まで出てきて謝罪した。
キリマンジャロで最初にコーヒーを栽培したのは、1903年、ギリシャ人である。高地であることと火山としての土質が適合していて、おいしいコーヒーが生産できることがわかり、急速に開拓が進む。現在、タンザニアから日本への輸出は第1位がコーヒー、第2位が綿花となっている。
コーヒーの品質の良さを表現するために「高地産」という言葉をよく使います。
では、なぜ高地がいいのか…一般に、次の4つの理由(条件)が言われています。
1 . もともと高原に自生していた野生の植物であるから環境的に適合している。
2 . 高所は雲や霧が発生しやすく、熱帯特有の強い陽差しを柔らげて熟成させる。
3 . 気温が下がるために、ゆっくりと時間をかけて果実を生長させる。
4 . コーヒーは病虫害に弱いのですが、発生率を低くすることができる。
上の写真は博物館の喫茶部のウェイトレスです。娘の佳織が「zuri(きれいよ)」と言いながら…
では、そのタンザニアの人々はどのようにしてコーヒーを飲んでいるのかと思ったら、あまりコーヒー党がいないことがわかった。喫茶店でも学生食堂でもコーラなど、炭酸飲料が人気だった。家庭でもティーバッグが安く売られているためか、コーヒーは目立たない存在である。
そんな中で最もよく飲まれていたのが「アフリカフェ」というインスタント・コーヒーである。日本でも販売されていますので、機会があったら飲んでみてください。Pure(純粋)な味です。
ブレンド・コーヒーは飲み飽きた。ストレート・コーヒーを飲みたいと言われる方には、この「ミルカフェ」のエスプレッソがお奨めです。強く爽やかな酸味、濃厚なコク、個性的な香り、しかも甘味が程良くあり…まさにキリマンジャロそのものである。ただし、これはダルエスサラームのスーパーマーケットで買ってきたもので、日本で購入できるのかどうかわからない。
エスプレッソはポンプ式の器具で抽出しますが、通常のレギュラーコーヒーはペーパーフィルターを用いた電動コーヒーメーカーが日本では普及しています。でも、タンザニアで見かけませんでした。
[08]で書きましたように電圧が不安定で電化製品が故障しやすいということがあります。2年前、ワンブラ医師が日本からタンザニアに帰国する時、冷蔵庫を2台も買って帰ったのですが、我々が訪れた時にはすでに1台が故障していました。そんな感じで彼らは電化製品の購入を渋ります。でも、テレビやパソコンは日本人以上に好きではないかと思いました。
今、日本で最も手軽に飲めるキリマンジャロは、2月にJTが新発売した「タンザニアン・ブルー」という缶コーヒーです。「キリマンジャロ豆100%」という表示があります。
ティンガティンガという絵画を使ったテレビCMやポスターが素晴らしく、ポスターは見つけ次第、盗んでやろうと企んでいますが、まだ実施のチャンスがありません。
【LOG in BLOG】05.4.16
東灘区民センターで開かれた「タンザニア ミュージック コンサート」の報告を2回に分けて。
まず、African Expressというバンドですが、ヴォーカルとキーボードにタンザニア人が2人、ドラムがコンゴ人。あと、ギターやパーカッションに日本人2人が加わるといったメンバーで、楽しく賑やかなコンサートでした。タンザニアの2人は現地でも人気のミュージシャンとのこと。
フィナーレで演奏した有名な曲「ジャンボ」の時には場内総立ち、お客さんが舞台に立つという騒ぎとなった。ほとんど宣伝していない催しにしては観客が多かったと思います。