人にも、街にも、国にも、表の顔と裏の顔がある。
どちらが表で、どちらが裏か、それを見分ける事は難しい。
ケニアって国は、結局、クルマが中心の国なのかも知れない。人口が急速に膨らんでいるにもかかわらず、鉄道などの公共アクセスは不備で物流システムも確立されていない。欲しい物は自分でクルマに乗って仕入れに行くしかない。
ナイロビの北東40kmほどの所にティカという地方都市がある。市の中央の広場が市場になっている。電化製品から野菜まで、ありとあらゆる商品が売られている。
ここに大は乗り合いバスのようなものから、小はセダンまで、クルマに人が乗ったまま市場に入ってくる。そのクルマを囲むように手に商品を持った商人たちが売り込みをする。凄まじい!
そのティカに、一変して静かな芸術村があった。10棟ほどの小屋が並び、ひとりひとりのアーチストの工房兼売店となっている。この日、日曜日だというのに誰も訪れる様子がない。
黒檀という真っ黒な木を彫刻した「マコンデ」がある。動物などを描いた絵画「ティンガティンガ」がある。布製品やおもちゃのような物まで並んでいる。
そのひとつの小屋にマサイ族の暮らしを描いた絵ばかりが飾ってあった。「マサイだ」と言ったら、小屋の主人が「私、マサイ族です」と小さな声で言った。芸術家は自己PRも控え目だった。
案内してくれた運転手が観光スポットとして「この街には滝がある」と言ったので行ってみたが、ご覧の通り。「滝は日本の方が何倍もすばらしいよ」と言っておいた。