バッファローのような角はないし、
チーターのように早く走れないし、
象のようにデッカクもない。
でも、ライオンは百獣の王。
ライオン(牡)
ライオンというと、あるイメージが浮かびます。
1985年に発行された岩合光昭さんの写真集「サバンナからの手紙」の中に牡のライオンが同志討ち、つまり殺し合う連続写真があります。感情的なもつれから2匹対1匹の対戦になり、1匹の方が息の根を止められるのだが、何とも壮絶な写真。王者になることの厳しさでしょうか。
この写真集の撮影場所はンゴロンゴロとその隣のセレンゲッティ国立公園。その時、岩合カメラマンは奥様(岩合日出子さん)と娘の薫ちゃん(当時・4歳)を一年半にわたって同行している。
薫ちゃんの可愛い姿が写真集にしばしば登場し、全体の雰囲気を和らげている。
で、その後、この写真集の裏話を奥様が書いた本が「アフリカ ポレポレ」で、数年前、薬師丸ひろ子主演で連続テレビドラマとなり、ご記憶になっている方も多いでしょう。テレビドラマは原作を無視していて、しかもアフリカを一面的にしか描いていない脚色で当方はガッカリだった。
でも、著書は二作とも名著である。特に、日出子さんの著書はいわゆるアフリカ本ではなく、「いい景色に出会うこと」「いい体験をすること」の困難さを伝えた旅行記として感動的だ。
「サバンナからの手紙」 岩合光昭・著 朝日新聞社 4077円 初版:1985年
「アフリカ ポレポレ」 岩合日出子・著 新潮文庫 514円 初版:1990年
サファリ・カーに囲まれても、百獣の王は臆することなく堂々と、そして、ゆっくりと。
ライオン(牝と子)
狩りをするのは牝ライオンの仕事になっている。草むらから顔だけ出して、獲物が近づいてこないか待っているようだ。でも、火口壁に囲まれた楽園「ンゴロンゴロ」のライオンはのんびりとしていて「獲物の半分はハイエナなどからの横取り」とガイドブックに書いてある。
普通、子どもライオンは
プライド(群れ)と呼ばれるグループに入れられ、社会性を身につけていくという教育システムがあるのだが、まだ幼いからだろうか、ここでは親子連れそっている。
食物不足の時期には母親は自分の子供の食事を妨げ、餓死させることさえある。
農業が広まるにつれて、家畜を襲うからといって射殺されたり、
獲物がいなくなったために生存できなくなったりして、
ライオンの数は急激に減りつつあるのが実状だ。
「動物大百科 アフリカの動物」 ヴァン・オルスドル・著 平凡社