豊かな国、貧しい国。いろいろな国があるけれど、
人間の幸せって、貧富というモノサシでは測れない。
9月11日の深夜23時20分、関西空港を飛び立ったエミレーツ機は時差の関係で10時間足らず深夜のまま飛び続けた。どこを飛んでいるかは機内のモニターでわかるのだが、景色は見えない。ドバイに着陸したのは現地時刻で午前5時前。早朝というよりは、深夜と言った趣きであった。
ここでトランジットする客は多いのだが、それを待ち受けているのは黄金の世界。デューティーフリーのど真ん中にはご自慢のGOLD製品が並ぶ。深夜というのに活気にあふれている。リング、ネックレス、チョーカー…それぞれ手のこんだクラフトだが、値段は重さで決まる。
こんなに手のこんだ細工なのに、量り売りされては、職人としてのプライドが傷つかないのか心配だ。これだけ数多く並ぶと高額商品であることを忘れさせる、独特の金銭感覚が生まれるから不思議だ。ここでは世界の有名ブランド商品が傍役になっている。
ドバイの朝は曇天だった。8時10分、薄暗いまま離陸し、アラビア半島を横断しはじめたが、下界は見えない。アフリカ大陸に入って晴れてきた。エチオピア、ソマリア、ケニアなどの国々の、ところどころに樹木が繁った荒野が眼下に確認できる。
「やっとアフリカに来た」という想いがこみ上げてくる。
12日正午、ナイロビ空港に着陸した。市の中心部から17km離れている。
少し古いガイドブックには「滑走路の周りにキリンなどが出迎えてくれる」と書いてあるが、今は事故があっては大変と金網の境界線を設けていて、動物の姿はない。
パスポートのチェックを終え、外に出ると、タクシーの運転手たちが出迎えてくれる。ホテルの名を告げると1500円ほどの料金を言った。佳織が早速、料金交渉を始める。ここでは事が始まる時、いつも料金交渉となる。相手の運転手はいつの間にか5人ほどになっているが、感情的になることもなく、延々と辛抱強く話し合いに応じてくれている。pole pole(ゆっくりと)
「ここがアフリカ、これがアフリカ」という言葉が浮かんだ。
街にはジャカランタの花が咲いていた。写真右よりの白い花。そろそろシーズンに入っているはずだが、なぜか冴えない。この10日ほど後、タンザニアの
アリューシャで見た薄紫色のジャカランタはきれいだった。交差点に信号がなく、ほとんどがロータリー方式である。